· 

【現場から第81回】判断基準は明確に

 あるお客様から、「労働時間が増加傾向にあり困っている」とご相談を頂きました。

 この会社では毎日、全従業員の労働時間数をグラフにしており先月中旬から増加傾向にあるというのです。

 

 社長や従業員の方がチェックしているというグラフを見せていただきました。

 そのグラフには全員が定時で帰った場合のグラフと、全従業員の労働時間のグラフを比較していました。

 

 確かに、先月中旬から両グラフの乖離幅が広がっています。

 この状況をどう見ればいいかと社長からご質問を頂きましたが、分からないというのが本音です。

 

 そこでお聞きしました。

 「現在の目標売上高は、全員が毎日定時で帰っても達成できるレベルなのでしょうか」

 「いえ、ある程度残業は必要です」

 「それでは、売上高が目標に近づいてきたら両グラフの乖離が増えるのは当然ですね」

 

 目標に近づくほど必ず乖離する基準値(ここでは全員が定時で帰った場合のグラフ)に意味はありません

 従業員は「売上目標を考えたら毎日定時で帰ることは無理」と考え、基準値を気にせず残業しています。危機感などありません。

 

 本来、社長が頭の中に持っている、この位の労働時間で抑えて欲しいという現実的な時間を基準にしなければ、社長以外は今の生産性が高いのか低いのか判断できないのです。

  

 判断基準は明確にして、高い低いが誰でも判断できるようにすることが必要です。