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【経営コラム第54回】誰が言うかも大事

 

 コミュニケーションにおける理想は、「誰が正しいではなく、何が正しいか」ですが、現実世界は「誰が言うか」が非常に大事です。

 

 同じことを同じトーンで話をしても、言う方が誰かによって印象が大きく異なります。

 話し手と聞き手の信頼関係、立場の違いなどでとらえられ方は変わります。

 

 また、当事者間では言いにくいことがたくさんあります。

 

 まず、お互いに不満を表に出しにくいものです。

 ずっと一緒に仕事をしていくわけですから、なかなか「こうしてくれよ」と言えないことがあります。

 

 そうした不満を、間接的に第三者から客観的に指摘してもらうことも重要です。

 

 また、部下からは「こんなことを先輩に聞いたら怒られるのではないか」という話もあります。

 これも第三者、別の部署の方や社外の人間に聞いてもらうと簡単に解決できます。

 

 後輩に聞かれたら、「そんなこと当然知っているだろ」と言いたくなる先輩も、部門外の人は素人だと分かっているので、知らないことに腹を立てる心配はありません。

 

 場合によっては、社長が橋渡し役として先輩社員に質問してもいいでしょう。

 そして、あとで後輩に伝えれば完了です。

 

 ただ、先輩社員の教育スキルを高めることを考えれば、あとで種明かしをすることも必要です。

 意外と先輩社員は、「後輩がそんなことを知らずに悩んでいたのか」と感じることが多いものです。