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【現場から第37回】上司の常識を言い訳にしない

  

 部下のミスに対して、こんな非常識なことをするんですとおっしゃる方がいます。聞き手も「常識で考えたらこうするだろう」、「こうするのが当たり前だろう」と盛り上がります。

確かに、それは部下の方がおかしいなと思うシーンもありますが、よくよく聞いてみると部下の方がそう考えたのも仕方がないと思えることがよくあります。

 

結論から申し上げますと、部下の常識を問うているだけでは会社の不備が解消されません。何らかのミスが発生したときに、10対0で部下が一方的に悪いということは多くありません

 

冒頭のようなミスは上司と部下の考え方の違いが引き起こしています。常識や価値観は人によって違います。自分はこういう行動を取るから、伝えなくても部下が同じように動くと思わない方がいいでしょう。

 

常識の違いを日常の簡単な例で見てみましょう。

田中さんは取引先の鈴木さんとアポを取っています。明日の14時に訪問することになっていますが、約束をしたのが2週間前なのでリマインドメールを送りました

 

メールを受け取った鈴木さんはこう感じました。

わざわざメールが来たので何か予定の変更でもあるのかと思ったが、ただの確認だった。約束してあるのだからわざわざメールしてこなくてもいいのに。

 

逆のケースを考えてみましょう。

鈴木さんは田中さんとアポを取っています。明日の14時に訪問予定ですが、予定通りなので事前連絡を入れようという考えはありません

 

田中さんは不安を感じています。

2週間前に、鈴木さんと約束をしているのですが、それから連絡がありません。

予定通りでいいのだろうか。予定通りにしても一報連絡をしておくのがマナーではないか。

 

これはどちらが正しい間違っているの話ではありません。

どちらも自分の常識通りに相手が動くと考えているのでモヤモヤしているのです。

田中さんと鈴木さんがお互いに相手の価値観を理解していれば、モヤモヤは解消されます。お互い悪気が無いのですから。

 そして必要であれば、伝えておくことです。事前の連絡は変更が無い限りいりませんとか、念のため前日までにご一報くださいとか。

 

 部下の常識を嘆く前に、会社や上司がして欲しいことが伝わっているのかをチェックすべきでしょう。伝わっていないのであれば、伝え方に不備はなかったのか検討すべきです。

 

 部下の常識を疑っていても、本人が変わらない限り改善はされません

 それよりも、社内のやり方に不備が無いかを検討する方がよほど生産的です。