急激な改革にはトップダウンで推進していくことが求められます。
特に、長い間低迷期にあるような組織は、ボトムアップ型でやろうとしても従業員の心が整っておらず、現状を変えたくない人たちによって改革が阻止されてしまいます。
混迷期に陥ったローマは、スッラ派と反スッラ派との内乱を経て、スッラがローマの支配者となります。スッラは反対派を粛清します。
反対派を粛清したスッラは「独裁官」という地位につきます。
ローマには、執政官という最高指導者の地位がありますが、執政官には独裁を防ぐため以下の配慮がされていました。
①執政官は二人選任される
②任期は1年
③執政官が提出する法案は、市民集会で可決される
しかし、共和政の信者であったスッラは共和政の弱点を知り抜いていました。
独裁を嫌い集団で物事を導いていく体制も、ここまでタガが外れてしまっては、今更彼ら任せの政治では改革などおぼつかない。
本来のシステムに戻すためには強権の発動が不可欠と考えました。
唯一の権力者となったスッラは、終身の独裁官として様々な改革を進めていきます。
こうして、自らが考える改革をやり切ったスッラは、独裁官の地位を返上します。
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・ローマ人の物語(7)ー勝者の混迷(下)(新潮文庫) 塩野七生著