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【歴史に学ぶ第29回】組織の弱み

  

 システムを整えて万全の体制を作った組織が、小さく資源も乏しい天才に負けることがあります。

 組織はともすれば動脈硬化を起こしやすく、変化に弱いという面があります。

 そのため、非常識なことが起きるとなかなか対応できずに翻弄されることがあります。

 

 日本史では、今年の大河ドラマでも出てきた桶狭間の戦いがそうです。

 組織として制度が整備された今川軍が、「只 励むべし(ただただ戦え)」という織田軍に翻弄され大将を討たれてしましました。

 

 スペインに本拠地を置いたカルタゴの対外進出派は諦めていませんでした。

 筆頭のハミルカルの死後、後を継いだハンニバルがローマに襲い掛かります

 

ハンニバルはアルプス越えを行い、突如としてイタリア半島に姿を現します。

 組織ローマは、非常識のかたまりであるハンニバルに翻弄されます。

 

ハンニバルの兵力は26千。ローマ本国の総動員兵力は75万人。

キャリアを積んで40歳を過ぎなければ軍団を率いることがないローマに対し、ハンニバルはわずか28歳。

 

兵士の質はどの国よりも高く愛国心も強いローマ兵に対し、ハンニバル軍はほとんどが傭兵の寄せ集め。

何よりもローマは陸軍国で、陸戦においては圧倒的な強みを有しています。

 

しかし、ローマ軍は初戦から敗走を重ねます

特にローマが万全を期して準備した、カンネの戦いは今もなお包囲殲滅戦の手本とされる完敗でした。

ローマ軍85千人のうち、死者は7万人に達したと言われています。

 

  

   

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