不公平感はメンバーのやる気を低下させる大きな要因です。
しかし、安易な平等はかえって別の不公平を生み出す原因にもなります。
ローマは都市を再建し、軍事的な面についてもケルトショック前にまで回復させます。
危機にはまとまりますが、危機が去ると貴族対平民の抗争が再燃するのがこれまででした。
しかし、ケルトショックに対応できなかった最大の原因がそこにありました。
ローマはこの抜本的な問題に対応します。
平民たちの希望は、執政官二人のうち一人は平民出身にする等、国の要職を貴族と平民で配分する方向でした。
しかし、ローマはすべての要職を平民に全面開放するという方法を選びます。
平民たちの希望は、いわば結果の平等です。貴族一人と平民一人という結果は一見平等に見えますが、貴族と平民という区別はいつまでも残り続けます。区別が残り続けば対立も残り続ける。抜本的な解決にはなりません。
ローマが選んだのは機会の平等です。自由競争です。二人とも貴族が占めることもあれば、二人とも平民が占めることもあります。自由な競争の結果であれば両派とも文句のつけどころがありません。
貴族と平民の抗争を無くすためには、見せかけの平等ではなく、貴族と平民という区別そのものが無くなるように仕向けていきます。
(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。
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・ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫) 塩野七生著