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【歴史に学ぶ第16回】拒否権という武器

   

 本日は馴染みの薄い「拒否権」の話です。

 とても強い権限で、まさしく特効薬にも劇薬にもなります

 

貴族対平民の抗争の中で、平民の権利を守る役職が作られます。

 護民官という役職です。護民官には、拒否権が与えられました。

 

拒否権とは、最高責任者である執政官の決定にNoを突き付けることができる権利です。

 

この拒否権というものは非常に強力です。今日の株式会社では、この拒否権を持った黄金株(別名:拒否権付株式)というものが有名です。

 

通常の株式会社の決議では、議決権をどれだけ保有しているかが決定を左右します。

 しかし、この黄金株が1株あれば議案そのものを拒否できます。

 

使われ方としては、敵対的買収への防衛策や事業承継の際に使われたりします。株式は後継者に移すが、しばらくは先代が拒否権を保有し、後継者が変なことをしたらその決定を取り消します。

 

一方、強力な権利であるため諸刃の剣でもあります。拒否権を保有する先代の判断能力が低下した場合や、予期せぬ人の手に渡った場合、会社に大きな損害をもたらす可能性があります。

 株式の99%を保有している社長が、1株の黄金株のために何も決定できなくなったというケースもあります。

 

 拒否権というものは強力な武器であり、大きなリスクであることを知っておいてください。

 

 

   

(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。

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ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫) 塩野七生著