本日は馴染みの薄い「拒否権」の話です。
とても強い権限で、まさしく特効薬にも劇薬にもなります。
貴族対平民の抗争の中で、平民の権利を守る役職が作られます。
護民官という役職です。護民官には、拒否権が与えられました。
拒否権とは、最高責任者である執政官の決定にNoを突き付けることができる権利です。
この拒否権というものは非常に強力です。今日の株式会社では、この拒否権を持った黄金株(別名:拒否権付株式)というものが有名です。
通常の株式会社の決議では、議決権をどれだけ保有しているかが決定を左右します。
しかし、この黄金株が1株あれば議案そのものを拒否できます。
使われ方としては、敵対的買収への防衛策や事業承継の際に使われたりします。株式は後継者に移すが、しばらくは先代が拒否権を保有し、後継者が変なことをしたらその決定を取り消します。
一方、強力な権利であるため諸刃の剣でもあります。拒否権を保有する先代の判断能力が低下した場合や、予期せぬ人の手に渡った場合、会社に大きな損害をもたらす可能性があります。
株式の99%を保有している社長が、1株の黄金株のために何も決定できなくなったというケースもあります。
拒否権というものは強力な武器であり、大きなリスクであることを知っておいてください。
(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。
(Amazonリンク)
・ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫) 塩野七生著