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【歴史に学ぶ第7回】性格の違う二人を組ませた失敗

  

 性格の違う者同士を組ませて、お互いの良さを活かしあうことは理想ですがなかなか難しいです。補い合えば最良の組み合わせですが、一般的には相互理解が難しく誤解が生じやすいものです。リーダーと本人達に自覚が無ければ上手くいきません。

 

六代目・セルヴィウスは後継者対策に取り組みます。しかしこの後継者対策は上手くいきませんでした。

 

セルヴィウスには二人の娘がいた。ひとりは勝気、もう一人は大人しい性格でした。

 先王の息子には二人の息子がいた。ひとりは野心家、もう一人は穏健な性格でした。

 

セルヴィウスはこの4人を結婚させます。勝気な娘と穏健な若者、大人しい娘と野心家の若者。結婚生活によってそれぞれの性格が中和されることを望んでいました。

 しかし、ただ組み合わせるだけではなかなか上手く行きません本人達に自覚させなければただ反発して終わりです。

 

 ここでも失敗に終わります。気の強い娘は、穏健な夫を軽蔑し、自分と似た性格の義弟を誘惑します。

 まもなく、穏やかな性格の二人がなぜか急死。お互いひとり身になった勝気な娘と野心家の若者が結婚。

 

 勝気な娘は野心家の夫を焚きつけます。ローマに住むエトルリア人を味方に付けた野心家は、元老院で演説を行います。生まれも定かでないものを王に頂くのはローマの恥であると。

 変事を知って駆けつけてきた王を、野心家は元老院入口前の階段上から投げ落とします。屈辱にさいなまれながら王宮に戻った王にとどめを刺したのは、実の娘でした。

 

 

(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。

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ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず() (新潮文庫) 塩野七生著