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【現場から第1回】従業員の怒りを知る

 

 従業員の怒りや不満を知ることは重要です。

 社長が何気なく接していることが思わぬ反感を買っていたり、このくらいは良いかと考えていることが想像以上に悪影響を及ぼしていたりすることがあります。

 

 社内の風通しが悪く、意見の表明ができない会社は特に要注意です。不満を不満として放置しておけば、従業員がどんどん辞めていってしまう等の弊害が生じます。

 また、従業員の不満や怒り、あるいは素朴な疑問は職場改善の大きなヒントになることがあります。

 

 そんな情報を収集するために当社のお客様の中には、社内に目安箱を設置している会社があります。

 目安箱の中身を社内の人間が見ることは禁止されており、当社スタッフが定期訪問の際に回収しています。社長が直接見ると、言いたいことを書けない人がいるためです。

 

 回収した意見は言いたいことのニュアンスが変わらないように気を付けながら、当社で文章を編集し、後日社長に提示します。筆跡や文章のクセから誰が書いたのかを分かりにくするためです。

 また、怒りの感情に任せた文章は的を得ていても、受け手に響かず不必要な反感を覚える可能性があります。そうした無意味な対立を生まないように第三者として調整を加えています。

 

 しかし、調整しても社員の不満や怒りというものは、社長にとっては厳しく聞こえるものです。この意見に耳を傾けることができるかも、会社が発展していけるかどうかの試金石です。

 

 会社の問題点をA4用紙2枚に書きなぐった方がいました。

 その結びは、

 

 こんなことでつぶれると言うなら、こんな会社はつぶれてしまえ!!

 

 それなりに上手くいっていると思っていた職場から、こうした意見を出てくる可能性があります。

 しかし、怒りの声が上がるということは、まだ従業員が会社を見捨て切っていないということです。本当にあきらめていれば、わざわざ目安箱に長文の投稿をしません。こっそり転職活動をすればいいだけです。

 

 こうした声は、社長にとってつらいものです。しかし、声を無視せずに向き合い、ゆっくりでも改善の動きが見えれば従業員は納得するでしょう。

 

 最悪なケースは、聞くだけ聞いて何もしないことです。

 言っても無駄だったという失望感が出てしまいます。目安箱などやらない方が良いかもしれません。

 

 しかし目安箱をやらなかったとしても、不満や怒りは消えることなくくすぶり続けます

 ただ社長の目や耳に届かないだけです。