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【現場から第80回】まずは固定費確保を狙う

 事業を考えるときに大きく二つの段階があります。

 何としても固定費を確保する段階と、収益性を狙う段階です。

 

 飲食店と物販の二事業を行う事業者様からご相談を頂きました。飲食店は収益性がそれほど良くないので縮小して、物販を拡大したいとのことでした。

 

 そこで冒頭の話になったのです。

 この事業所様は飲食店で生活費を含む固定費を捻出できていました。これを縮小すると物販の売上が確保できなければ赤字になる状態です。

 

 しかし、事業主も生活があります。まずは何としても生活費を含む固定費を確保する必要があります

 そのため、縮小は考えず現在の体制を維持しながら拡販を行っていくことが大事です。

 そして、拡販が成功して安定した売上高が確保できるようになれば、飲食店の縮小を検討すべきでしょう。

 固定費が確保できるか否かという段階を越えてから、収益性を考えることが大事です。

 

 論理的には利益率が低い事業を縮小し、利益率の高い事業を強化することが望ましいでしょう。

 しかし、人間は感情の生き物です。また事業は不確実なものです。

 月々の入金額が少なくなる。貯金額が目減りしていく。新しいことの成果がなかなか見えない。

 こうした日々を過ごす中で、心がざわつき判断がおかしくなることがよくあります。

 貧すれば鈍すると言いますが、こうした状態で誤った判断をして傷口を広げる事業者様も少なくありません。

 

 まずは、収益性を二の次にしてでも何としても固定費を確保する。

 

 収益性はその次の段階です。