よく現場で「ものさしの違い」というお話をします。
同じ会社の人間でも、持っている情報や感覚(ものさし)が違うため、話をしていてもかみ合わないことがよくあります。
ある社長は、売上が下がっており危機感を持っています。
しかし、当の従業員達は危機感を持っていません。
その原因は、見ている数字の違いでした。
社長は全体の試算表から売上高が前年に比べて芳しくないことを知っていました。
しかし、従業員は現場の管理ソフトで売上高をチェックしていました。
「こんなに増えているんです」と従業員の方が、管理ソフトで主要サービスの売上状況を教えてくれました。
単月毎に見ていくと、確かにほとんどの月で前年を上回っています。
中には前年比で120%近く増加しているサービスもあります。
これだけ現場が頑張っているのに、社長は何を言っているのかというのが従業員の感覚です。
この数値だけを見た私の正直な感想は、「確かに現場の言うことももっともだ」というものでした。
しかし、あくまでパッと見た感覚だけですので、一通りデータを持って帰ることにしました。
そうして集計してみると、売上高合計は前年比94%。
社長の見ているデータが正しかったのです。
しかし、実はどんでん返しがありました。
ある主要サービスについては売上高が前年3割水準になっており、これが全体売上高の足を引っ張っていました。
この売上高低下の原因が何か。
実は全社の方針で、今期からこのサービスの売上高が別部門に計上していたのです。
このサービス以外の売上高で合計してみると、前年比101%と決して数値は落としていません。
単純に全体の売上高を見て善し悪しは判断できません。
全体で傾向を把握した後は、その原因を探ることが大事です。