まだ社会人1年目だったころに、帰宅途中の電車で聞いた会話を今でも覚えています。
白髪のサラリーマンと少し年下と思われる中年の二人組でした。
「若い頃は時間ができたら勉強しようと思っていたが、今から考えればあの頃が一番時間があった」
それを聞いて、自己投資をしておかなければいけないなと感じました。
カエサルは国外逃亡の中で様々な経験を積み、再び帰国します。
そして、31歳でようやくローマ政界のキャリアをスタートします。
当時からカエサルは有名人でした。
ただし、政治家としてではなく、派手な生活ぶりと莫大な借金を抱えていることで有名でした。
当時のカエサルの借金は、11万以上の兵士を1年間まるまる雇える金額でした。
その借金の使い道は以下のようなものです。
①本の購入
まず、カエサルは大変な読書家でした。当時の本はすべて写本でしたので恐ろしく高いものでした。その読書量は、当時のナンバーワン知識人からも認められるほどでした。
②おしゃれ
カエサルはおしゃれにとても気を使っていました。
カエサルは暗殺されたときにも、倒れたときに見苦しくならないように着衣トーガのすそを身体に巻きつけながら倒れたと言われています。
今でもそうですが身の回り品に凝りだすとキリがありません。
③交際費
友人や後援者との交際費も馬鹿になりません。
ただ、これは当時の政治家としては当たり前の使い道だったと言えます。
④女性へのプレゼント
カエサルの女好きは有名でした。
後年、カエサルの部下たちはカエサルの戦勝を祝う凱旋式の際に、「みんな女房を隠せ!ハゲ(そのときカエサルはハゲていました)の女たらしがやってくるぞ!」と愛のあるいじりをしています。
こうした愛人を喜ばそうとするプレゼントが高くつきました。
これらは自己投資と言えると思います。
①は自分の知識や見識を広め深めるため。
②についても行き過ぎたおしゃれはどうかと思いますが、良いものを知るということは視野を広げるうえで大事なことです。
③については、色々な人と交流をもち、つながりを作ることは今でも大事です。
④は異性でも同性でもいいのですが、誰かを喜ばせるためには、相手の観察や情報収集が不可欠です。そうした中で培われた人心掌握術もあったと思います。
と、やや無理やり弁護してきましたが、さすがのカエサルもこの借金額を反省したようです。
でも生活ぶりは変わらなかったようですが。
(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。
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・ローマ人の物語(8)ーユリウス・カエサル ルビコン以前(上)(新潮文庫) 塩野七生著