· 

【経営コラム第44回】人は認められたい(4)

 ここまで承認を求めることで引きおこる、従業員の問題を見てきました。

 しかし、中小企業で問題を引き起こすのは社長も同じです。

 

 むしろ、影響力が強く、コントロールできる人間が少ない分、質が悪い。

 

 社長が承認欲求を求めると、どうなるでしょうか。

 話が長い、ネガティブ話が多くなる、関係のない自慢が多い、人の話を聞いていない

  

 まず、人は自分が話をしたい生き物です。

 話を聞いてもらっているという感覚は、自らの承認欲求を満たすからです。

 

 なので、話が長くなります。

 

 逆に、人が話しているときは苦痛です。

 よく中小企業でヒアリングを行うと、社長はよく従業員の話を聞いていると言います。

 しかし、従業員は社長が話を聞いてくれていないと言います。 

 

 社長は話を聞くのが苦痛なのでそれが態度に出てしまい、話をしている従業員からすれば、社長は話を聞いてくれていないと感じます

  

 相手の顔を見る、うなずきを入れる、相手の言葉を復唱・言い換えするなど、「聞いているよ」というシグナルを出すだけでも印象が大きく変わります

  

 また、社長の話も注意してください。

 社長の話が好まれないケースの多くは、話の内容が「自分の存在意義の主張」になっています。

 

 従業員に対して、自分の方ができるんだぞと相手の粗を探してネガティブな言葉を使ってしまう方がいます。

 自分の地位や知識を誇示したくて、関係のない自慢話が多い方がいます。

  

 従業員と社長の役割は違います。

 

 監督が、選手に対して自分の方が上手くホームランが打てると打席に立つような真似はかっこいいものではありません。

 

 優れたホームランバッターを上手く使いこなせる名監督としての立ち位置を切り拓いてはいかがでしょうか。