相手に勝つためには、その相手の研究が不可欠です。
相手の強みが生きる領域では戦いを避け、なるべく相手の強みが生きない領域で勝てるようにする。あるいは、相手の良いところをマネして差を埋めることも大事です。
ハンニバルがイタリア半島に進出してローマを苦しめたのがこの戦役に始まりでした。
今度はスピキオがアフリカに進出してカルタゴを苦しめます。
スピキオは成果を上げていきますが、この中でも大きなものがヌミディアという国を味方につけたことです。
ハンニバルは騎兵を巧みに使い、歩兵主体のローマ軍を翻弄してきました。
騎兵は馬があれば使えるというものではなく、幼い頃から馬に慣れ親しんだ民族でなければ乗りこなせないという欠点がありました。
そのため、ローマ軍は騎兵の有効性を知りながらも簡単に導入することができなかったのです。
ヌミディアは騎兵の民族です。彼らが味方につくことでハンニバルと同じような戦い方ができるようになりました。
アフリカ戦線が劣勢になるなか、カルタゴはハンニバルを本国に呼び戻します。
ハンニバルがイタリア半島に侵攻してから16年が経過していました。
ついにハンニバルとスピキオは直接対決のときを迎えます。
16年間組織のローマを翻弄し続けたハンニバル。
そのハンニバルに勝つためにはハンニバルのように戦わなければならないと、ハンニバルから学んだスピキオ。
ザマの会戦でスピキオはハンニバルに完勝します。
(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。
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・ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下) (新潮文庫) 塩野七生著