戦争終了後の後に何を行ったかでその国の将来が変わるといいます。勝敗は終わったことですのでどうしようもありません。その経験をどう活かすかが大事です。
■対処療法のカルタゴ
カルタゴは負けたとはいえ、地中海の大国であったことには変わりありません。
しかし、戦後対策が不味く流血騒ぎを起こします。
加えて、この混乱の中で植民都市の一部がローマに寝返ります。
チャンスを逃す原因となった、国内重視派と対外進出派の抗争は続いています。
対外進出派は、国内重視派が優勢なカルタゴを去ってスペインに本拠地を置きます。
カルタゴ人の経営力によってスペインは高い生産性を誇る農場に変貌します。
失った経済力を回復するという対処療法には成功しましたが、敗戦に至った根本的な問題は内包したままです。
■体制を固めていったローマ
ローマは勝ち取ったシチリアでのインフラ整備を進めていきます。シチリア島では、ローマ支配の前には都市間の抗争が頻繁にありましたが、これがなくなります。また、インフラ整備によって生産性も向上します。しかも覇権国家ローマの下、何かあればローマ軍が守ってくれます。
これにより、シチリアはローマの穀倉に変わります。
また、ローマは防衛線を確実にすることにも力を注ぎます。イタリアの海賊が横行していたため、ローマはこの討伐に乗り出します。北方から侵略してくるガリア人とも戦い、ポー河に防衛線を確立します。
対外的なことだけでなく、300年ぶりに税制・軍制・選挙制を改革する等、国内外を確実に固めていきます。
(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。
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・ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫) 塩野七生著