市場やお客様のことよりも、社内の争いを重視する会社は今でも少なからず見かけます。
結果的に外部への対応が遅れ、どんどんと状況が悪くなりますが、迫りくる危機よりも身内への反発の方が勝るという方がいます。
ローマとカルタゴとの戦いは18年目を迎えました。
ローマ軍は市民が兵士として参加するため、カルタゴとの戦争で消耗していました。
戦場だけでなく、戦闘には強くても船を操る技術力はまだまだですので大きな海難事故も経験しています。国庫も空になっていました。
一方のカルタゴは海戦に敗れることは多くても、大きな海難事故は起こしていません。
兵士の大半も傭兵であることから、自国民の損害は少ないものでした。
勝利は多く占領地も増えていくローマでしたが、消耗を考えれば確実に劣勢でした。
カルタゴはこのチャンスに、ハミルカル・バルカという才能豊かな若い将軍を投入します。後にローマを徹底的に苦しめるハンニバルの父親です。
しかし、チャンスを活かすことが下手なのがこの時期のカルタゴ人でした。
いかに現地に優秀な人材を派遣しても、本国からの支援とその継続が不可欠です。
カルタゴ本国では国内重視派と対外進出派で派閥争いしており、ハミルカルに対して充分な戦力を提供しませんでした。
手元の戦力に不自由しながらもハミルカルは4年間、ローマ軍を翻弄します。
しかし、ハミルカルへの補給に向かうカルタゴ海軍が大敗したことでカルタゴ政府は、ハミルカルにローマとの交渉を命じます。
講和を取りまとめたハミルカルはシチリア島から撤退しました。
(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。
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・ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫) 塩野七生著