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【歴史に学ぶ第26回】成果主義の弊害

  

社員を評価するときに何をもって評価するかというのは、社長の頭を悩ませる問題です。

何はともあれ成果を上げなければ意味がないと成果を重視すれば社員間でギスギスし、プロセスが大事とプロセスを重視すれば成績の良い社員が引き抜かれ

 

最終的にはバランスと会社の思想の問題にはなりますが、悩ましい問題です。

本日は成果主義による弊害を見ていきましょう。

 

カルタゴ海軍に勝利したローマ軍は、再び海戦で勝利します。

シチリア島にいたローマの執政官レグルスのもとに、カルタゴから講和の使節がやってきます。

 

 しかし、レグルスは無茶な条件を出してこの講和を破談にしてしまいます。

カルタゴを侮っていたことと、後任の執政官が来る前に戦果を上げておきたかったからです

 

大型案件を自分が支店長の間にクロージングしたい。後任の支店長には渡したくない。そんなイメージでしょうか。

 

原因は、執政官の評価にあります。任期中に充分職務を果たしても、その成果である戦闘での勝利が翌年の執政官の任期にずれ込めば、それは新任の成果になってしまうためです。

 プロセスよりも成果に対する評価が大きすぎるのが問題でした。

 

翌春の戦闘が必至となったカルタゴは、戦闘経験の豊富な傭兵隊長をスカウトします。

傭兵隊長は、カルタゴ軍の訓練を始めます。象兵や騎兵を確保し、これらを活かす戦術を立てます。

 

 準備が整ったカルタゴ軍は、ローマ軍に戦いを挑みます。成果を上げたい執政官レグルスは、援軍の到着を待たずに挑戦を受けます

 

結果は完敗。レグルスも捕虜になるというありさまでした。

 

 

 

   

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ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫) 塩野七生著