「他人の芝は青く見える」とは、何でも他人のものは良く見えるという意味です。社長の中にもこういう方がたくさんいます。今の事業は将来がない、あっちの○○は将来性があるとか、こっちの××は収益性が高いとか。
しかし、それぞれの事業には各々の事情があります。
そんな気楽に儲かるものではありません。他人からは見えにくいだけ。
でも既存事業に行き詰った(と思い込んでいる)社長は、面白そうな新規事業に飛びつきがちです。
ローマとの戦争が思い通りにいかずやる気が出なくなってきたピュロス。
そのピュロスに、シチリア島のシラクサからお誘いがあります。
今のプロジェクトが嫌になってきたときに新しい話がやってきました。詳しく聞かずに飛びつきます。新しいプロジェクトの方がワクワクします。
結局、ピュロスは3年間シチリアで時間を無駄にします。何も成果を得られずにターラントに戻ります。
一方のローマは外交関係をしっかりと固めて万全の状態を築いていました。
同じ3年という期間を、どう使うかで両者の状況は一転していました。
ピュロスは得意の戦闘で挽回しようとしましたが、今度は大敗し本国に逃げ帰ります。
本国を出発したときに引き連れていた精鋭2万8千人の兵は、帰国時に8千500人になっていました。
ターラントから戻ったピュロスはこの3年後に、スパルタとの戦闘で戦死します。
この後、もろもろの元凶となったターラントはローマによって簡単に陥落します。
(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。
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・ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫) 塩野七生著