自分の思い通りにならなかったらすぐにやる気が無くなってしまう人がいます。自分の気分次第でテンションが大きく変わります。
短期的には大きな成果を出しても、中長期的には我慢ができずに上手くいかないパターンの人です。
商売は長期的に行っていくものです。やっぱり我慢強さは重要です。
今回の主人公もピュロスです。勝利に気を良くしたピュロスは街道を北上し、首都ローマに攻め込むことを決意します。しかしピュロスの思惑に反して、各都市がローマから離反しません。これがピュロスのやる気を失わせました。
ピュロスは優秀な人物でしたが、忍耐力に欠けるところがありました。
結局、来た道を引き返してしまいます。
ピュロスは講和を提案しますが、ローマの回答はNo。再び両軍は激突してローマ軍は大敗します。しかし、ピュロス側も大きな損失を出します。
ピュロスは側近に「ローマ軍に勝つたびに、わが軍の戦力は減っていく」とグチります。
割に合わないことを「ピュロスの勝利」と言います。今風に言えばコスパが悪いということです。
頭の回転が速く、次々と成功させているように見えますが、コストがかかり過ぎて利益がほとんど出ない社長というイメージでしょうか。
とりあえず大勝したピュロスでしたが、ここでも忍耐力の無さから迷走し始めます。
ローマを追い詰めずに、今回も気が乗らないから帰ってしまいます。
勝ち星は付きましたが、3,500人の精鋭を失っただけです。
(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。
(Amazonリンク)
・ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫) 塩野七生著