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【歴史に学ぶ第21回】補充可能性が重要

      

会社では経営資源が重要ですが、今ある資源の強さだけではなく補充可能性も重要なポイントです。今は良くても、代わりが無ければ中長期的には難しいでしょう。補充できるスピードとレベルが重要です。

スピードはどれだけ早く補充できるかです。レベルは調達できる水準です。

 

危機を乗り越えたローマは、偶然の事故が原因で南イタリアのターラントと戦争になります。

ターラントは、当時の地中海世界で最も高名な武将をスカウトします。ギリシア北西部にあるエピロスの王・ピュロスです。

ピュロスは嵐で損害を出しながらもターラントに向かいます。

 

しかし、要請をしておきながら当のターラントは臨戦態勢とは程遠い状態です。

約束していた準備は何もしていません。市民は劇場や体育館で日常生活をおう歌しています。

口先では大層な約束をするが、何もしないのがターラントです。結局他人任せです。

こんな人は今でもいますね。

 

怒ったピュロスは自分の手勢だけで戦うことを決意します。

 

ピュロスとローマ軍は激突します。ローマ軍は7千を数える死者を出して敗走しました。しかし、ピュロス側も4千の戦死者を出しています。

 

 ローマは本拠地にいるので素早く、かつある程度の質とモチベーションが高い兵を補充できます。

 

 ピュロスは、勝利によりローマに不満をもつ人々が志願兵として参加しました。スピードはローマと互角です。しかし、戦死したのは本国から連れてきた精鋭。ピュロスに対する忠誠心も高い兵です。レベルにおいては志願兵では代替できるものではありません

 

こうした補充可能性がローマとピュロスの命運を分けることになります。

 

   

(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。

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ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫) 塩野七生著