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【歴史に学ぶ第15回】改革に時間がかかったワケ

    

 多くの会社は、本当に危機感が出ないと抜本的に解決しようとしません

 損益計算書がダメになって、その後貸借対照表がダメになる。損益計算書だけがダメなうちに対処しておけば楽なのに、資産が手元にあると危機感が薄く、貸借対照表がダメになってからようやく抜本的に取り組もうとします。

 

王政打倒から近隣諸部族との戦いに忙殺されていた期間は、ローマは一致団結していました。

 しかしこれらの危機を乗り越えたとき、ローマは大問題を抱えます。貴族と平民の抗争の始まりです。

 

 貴族対平民の抗争が抜本的に解決されるには、500年の歳月を要しました。

 人間、危機感が無ければ抜本的に解決しようとしません。この危機感が出なかった原因は、ローマ人の名誉心があります。

 

 平民は執拗に闘争を止めませんでした。しばしばストライキします。

 しかし、ローマの平民は口では文句ばかり言っているが、いざというときには遅くまで残業して仕事をこなしてしまう職人の様な方たちです。そのため、ストライキといっても危機的な状況には陥らずあまり効果がありません

 

 そうは言っても貴族の方がだらしなければ「あんな貴族のために」という大義名分ができるのですが、貴族も立派な人が多かった。危機には率先して自らを犠牲にする人ばかりです。

 

 こうして、平時は抗争を続けた貴族と平民も、いざというときには一致団結して対処してしまうので、なかなか抜本的に解決しようという危機感が出ないのです。

 

 しかし、だらだらやっているうちに状況はどんどん悪くなっていきます。

 企業様も本当に、早めのご相談をお願いいたします。もう23年前にご依頼いただいたらまだ楽だったのにと思うことがよくあります。

 

  

(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。

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ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫) 塩野七生著