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【歴史に学ぶ第12回】暗黙の了解は通用しない

  

 長く続いている会社ほど、明文化されていない昔からの独自ルールが発生します。限られたメンバーでやっているときには、暗黙の了解で進むため効率的かもしれません。

 しかし、メンバーが増えてくるとトラブルのもと。古くからのメンバーは「当たり前のことができない」と、新しいメンバーは「そんなこと聞いてないよ」と不満を感じます。

 

 内外の問題がひとまず解決したローマは、当時の先進地域ギリシャへ視察団を派遣します。それまでのローマの法律はきちんと文章としてまとまっておらず理解しているのは支配階級に限られていました。それに不満をもった民衆が、法の成文化を要求したのです。

 会社でもそうですが、明文化されていない昔からの独自ルールが点在して分かりにくいので、きちんと見える化してくれということです。

 

 余談ですが、日本では鎌倉時代に北条泰時という名君が「御成敗式目」という法典を作りました。

 当時の日本には律令という法律がありましたが、泰時が言うには「田舎で法律に通じている者など万に一人もいない。そんな状態で法律に則って処罰するのは、まるで獣を罠にかけるようなものだ」。

 そのため、漢字を読むことができない地方武士でも理解できる法律を作り、身分の高下にかかわらず、えこひいき無く公正な裁判ができる世の中を目指しています。

 

 余談が長くなりましたが、ようは良い評価をするにしても悪い評価をするにしても、何らかの基準を事前に提示しておくことが大事です。それも相手が分かるレベルに落とし込んでおかなければ機能しません

 

 ローマの視察団は、法治国家の先進国の中でも有名なアテネとスパルタを訪問します。

 

  

(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。

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ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず() (新潮文庫) 塩野七生著