
初代から四代目まで、創業期からの血脈であるラテン系かサビーニ系の王が続きましたが、五代目はローマに移り住んだよそ者のエトルリア人が王になります。
この人はギリシャ人とのハーフで、純潔主義の母国では先が見込めないと思いローマに移住した人でした。
今の会社では親戚関係や学閥の問題で出世できないので、開放的な社風の会社に転職するようなものでしょうか。
四代目王の死後、自ら次の王に立候補し当選。37年に及ぶ治世の間に、ローマ勢力圏は一段と拡張されただけでなく、市民たちの生活水準も飛躍的に向上しました。
ロムルス以来100人であった元老院の定員を200人に拡大します。人口増加が理由ですが、王が任命できる元老院議員を増やすことで王の権力を強化しました。
民衆の支持で王になった男は、民衆の支持のみに頼ることの危うさを知っていました。
政治基盤を確かにした後は、外征に出ます。周辺を脅かしていた近隣部族をしばらく大人しくさせて、大規模なローマ開発に着手。干拓事業を行い、活用できる土地を増やしました。
大勢の人が関わると理性よりも感情や雰囲気に流されやすくなります。特に長期的な構想は成果も出にくく、当初は支持していても移ろいやすいのが人間。
まずは権力基盤を確立、短期的に成果が上がることで目に見える成果をあげ、それから長期的な構想に着手するのが望ましいです。
(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。
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・ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫) 塩野七生著