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【歴史に学ぶ第1回】創業者の戦い

 

 第一回目はローマ創業者のお話です。主人公はロムルスという人です。

 ラテン系若者のはみ出し者集団のリーダーだったようで、双子の弟レムスと一緒に安住の地を求めてローマにやってきました。

 

 生まれたばかりのローマは周辺の主要勢力から見れば魅力のある土地ではありませんでした。経営でもそうですが、魅力のあるマーケットは大手を中心に既存勢力に取られているので、最初はすき間を狙って小さく生活圏の確立を目指します。

 

 生活圏が整ってくると、双子の弟レムスが邪魔になってきます。スタート時には争う間もなく協力しないと食べていけなかった創業仲間が、少し安定してくると喧嘩を始めるようなものでしょうか。

 加えて、創業期のスピード感が必要な時期に決定権が分散しているのは、混乱や失策のもとです。結局レムスが敗死して、ロムルスに集約されます。

 

 ただ、ロムルスは「俺についてこい」だけの人ではなかった。創業仲間から認められてリーダーをしているという自覚がありました。

 また、厳しい創業期を戦っていくために一体感や参加意識も重要でした。

そのため、ロムルスは最高責任者の王になりましたが、行政機関を作りました。助言や内部の情報を伝える元老院と、政策の可否を決める権利を与えられた市民です。

 

王:方針や施策を作って運営の最高責任を持つ社長

元老院:創業有力メンバーがアドバイスや意見を行う幹部会

市民:社長の方針や施策に賛否を示す社員会

 のようなイメージでしょうか。

 

 トップが、勝手にあれこれ考えて決めてメンバーにやらせる組織ではなく、考えるのはトップがやるが、やるやらないはメンバーが意思表示できる組織にしました。

 

 

(参考図書) 持ち運びしやすい文庫版がお勧めです。

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ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず() (新潮文庫) 塩野七生著