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【経営コラム第14回】現状を知らない弊害

 

 現状を知らない弊害は、「思わぬ判断ミスを起こす可能性」以外にもあります。
 「声の大きな人の意見が通りやすい環境」と「必要以上に不安になる」ことです。

 

 「声の大きな人の意見が通りやすい環境」は、現状がきちんと把握されていない場合に起こりがちです。
 お互いに思い込みで意見を出し合うのですが、根拠が薄いので相手を納得させる決め手に欠けます。
 そうしてダラダラとした意見交換の後に、最終的に声が大きな影響力のある人が意見を押し通して終了してしまいます。

 

 きちんとその情報の出所や裏付けを取ることで無駄な議論を防いだり、本当は正しい少数意見を生かしたりすることができます。

 

 現状が見えないことで、「必要以上に不安になる」方もいらっしゃいます。
 本当に大丈夫だろうか、今上手く会社は回っているだろうか。
 経営者として大事な心配ごとではありますが、必要以上に不安になっていると仕事に身が入りません。

 

 ある個人商店のお客様は、年に1回の確定申告のときにしか経営の状態を把握していませんでした。
 私達が支援させていただくときに、月次の試算表作成と販売管理もあわせて受託し、月々の経営状況を見えるようにしました。

 

 月に1回数値資料をもとに、来月の作戦会議を行うようになって社長の様子は随分と変わりました。

 始めの頃は経営の状態も良くなく、土色の顔でうつむきがちに来社された社長ですが、半年もすると顔色が良くなり、しっかりとした足取りで来られるようになりました。

 

 社長は「いままでは暗闇の中で手探りにやっていた。何が正しいのか分からずにおっかなびっくりやっていたが、今は全部見えるので安心して営業できる」と言われています。