商売を始めて軌道に乗ってくると、「もう一店出せば倍になるんじゃないか」と思ったりします。
結論から申し上げますと、残念ながらなかなか上手くいきません。
いや、1店舗目のときより色々と慣れているから上手くいくと思いますと言われる方も多いのですが、これが上手くいきません。
1+1が2未満になってしまうのです。
原因は、1店目は社長の目配りで何とかなりますが、2店目以降は社長の目が届かない場所が出てくるからです。
店内が汚れている。ショーケースの商品が少なくなっている。従業員がのんびりおしゃべりしている等々。
こうした光景が社長の目に見えてきます。
そこで社長はすかさず、気になる点を解消していくことができます。
しかし、店舗が増えるとこうした行動が思うようにいかなくなります。
結論としては、社長の代わりにこうした行動をとってくれる人を育てることや、こうした光景が社長の下に情報として飛び込んでくる仕組みが必要です。
そうすれば、1+1を2以上にすることができます。
両店を同時に見れば何とかなるのではないかと考える方もいらっしゃいますが、1店舗目をずっと見ていたときに比べれば時間的制約が大きく、見えないことが多いものです。
2号店に目が行くことで1号店が低下することもあります。見る時間が減ることで1号店の1が0.8とか0.6とかになってしまうわけです。
隣地に別館を立てたことで、本館のオペレーションが乱れて赤字転落した飲食店があります。
出店した営業所が上手くいかず社長が営業所改善に尽力しているうちに、もうかっていた本社の業績が低下した小売業があります。
物理的に見えない。すぐに目が届かないということは、社長が思っている以上に大変なことだということを覚えておいてください。