私は経営が非常に厳しい会社の再建にも携わっていますが、未来に対する決定の遅さと不味さが会社を傾ける大きな原因の一つです。
中小企業では社長が日常業務に忙しすぎて、考える時間が取れないことが多くあります。
朝から晩まで配達して、クタクタに疲れてビールが美味い。これでは先の手が打てません。
社長に「1週間のうち、社長としての仕事をどのくらいしていますか」と尋ねると、多くが2割から3割と答えられます。
少ないところでは1割も満たない方もいます。
こうした社長は、まずはこの比率を1割高めることを目標に私はサポートします。
そうすると、1年も経つ頃には会社の課題が解決され、新しい展望が見えてきたりします。
忙しいのは重々承知ですが、社長未満の仕事に逃げているケースがあります。
慣れ親しんだ仕事の方が楽なので、つい忙しいことを言い訳に社長の仕事を先延ばしにするのです。
そうした会社は、従業員も社長にならえとなります。
部長は課長の仕事をし、課長は主任の仕事をし、主任は平社員の仕事をしています。
そして平社員は「この会社大丈夫か」と未来に対してあれこれ考えて不安になります。
この悪循環を断ち切るには、社長が「私は社長の仕事ができる時間を増やす」と決意することです。その上で、人の力を借りることです。
人の力は二つのことに使います。まずは自分のコントロールをやってもらうことです。
もう一つは、物理的に自分の仕事を代わりにやってもらうことです。
自分のコントロールをやってもらうとは、社長の仕事ができる時間を増やすプロジェクトを管理してくれる人を設けることです。
人は自分に対して行った約束を簡単に反故できます。自己管理というのはなかなか難しいものです。
そのため、定期的に進捗状況を確認してくれる人を設定しておくことが望ましいです。